Bill LaBounty / Back To Your Star (2009) – Larry Carlton

全てが渋さと哀愁に溢れています。

 1. California Turnaround
 2. Back To Your Star
 3. Dianne
 4. HWY85
 5. Stay High
 6. Old Habits
 7. Fumes
 8. Cinderella
 9. Golden Now
10. The Wheels Are Coming Off
11. Fly Away
12. River Girl
13. Livin' It Up (Acoustic)








Bill LaBountyの'09年の作品です。前作"The Right Direction"より18年の時を経て制作、リリースされています。好きな時に好きなことをやる自由な人、あるいは寡作な人なのかなと思っていたら、ライナーノーツには、ずっと生活のために曲作りに追われていたという意外な真相が書かれていました。(仕事に追われて好きなことができない我々日本のサラリーマンに通じるものを感じてしまいました)。毎回、腕利きを集めてレコーディングする人ですが、今回も名うての人々を集めているので、スケジュール調整が難しく、時間がかかったとも書かれています。その分、気心の知れた達人たちと楽しみながら制作できた、とも。
70年台後半からのAORブームでは、美しいメロディとヘタウマなヴォーカルで第一人者の一人として人気を博しました(日本ではChristopher Crossと共に「ジャケットに顔の出ないシンガー」として人気を博しました)が、AORブームが去った後でも、哀愁のある美メロと渋いヴォーカルはますます円熟度を増しており、セールス的な成功はともかく、シンプルな音作りながら、完成度の高い作品となっています。(ルーツ回帰なのか、一部Blues Rockっぽい曲もありますが)
本作は、発売時に買えば良かったものを、仕事の忙しさなどで見送っていたらあっという間に市場から消え、数年後に倍近い金額で購入しました。しかし、金額以上の価値がありました。







<ギターの聴きどころ>

タワレコの商品紹介や、一部のブログには全面参加と書いてありますが、個別曲のクレジットによるとCarltonは1,6,13の3曲のみに参加です。
哀愁漂う1、右からのリバーブすらも薄い335のナチュラルトーンで、オクターブなどの渋〜いオブリで、渋〜いヴォーカルを盛り上げています。少ない音数でのシンプルなプレイなのになんと言う深い感情表現!
Robbie Dupreeのハーモニカが泣かせる6、ここでも、右からひっそりと、しかし情感たっぷりのチョーキングなどのオブリを「ほんの少し」だけ入れていて、エロティシズムさえ感じさせます。達人は少ない音で魅了するのですね!
日本盤のみのボートラの13、自身の代表曲のリメイクですが、主役のアコピとアコギのシンプルなバックながら、原曲の持つ切なさを、アンプも使ってないのに増幅しています。Carltonのプレイでは、上がりきらないチョーキングと、サスティーンしないのにロングトーンを奏でようとするプレイが苦味ばしった哀愁を感じさせます。
その他の曲では、本作制作の右腕的役割も果たしたというDanny Parks(Dean Parksではありませんでした)がプレイしています。カントリー出身とのことですが、アコギ、エレクトリックともシンプルでよく歌う的確なプレイで、Carltonと共通するような音づかい、サウンド、味わいが随所に登場します。(9や10は個人的には好みではありませんが)クレジットを見ずに聴いたら、Carltonと思ってしまうかも知れません。先に述べた商品紹介やブログ記事でCarlton全面参加と書かれているのは、この人のプレイをCarltonと認識したのでしょうか?(9や10は個人的には好みではありませんが)シンプルながら泣きのあるギターが好きな方は、Carltonだけではなく、この人のプレイも聴いてみてください。11のSteve Warinerのアコギも!
本作、歌もギターも、ハーモニカも、サックスも、全て哀愁と渋さ、切なさに溢れています。しみじみとした一人酒に最適です。
(洋酒限定)










Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
お酒のお供度♡♡♡♡♡(バーボンならいいけど、スト缶とかはダメですね)

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