Barry White / Just Another Way To Say I Love You (1975) – David T. Walker

2023年5月17日 2023年5月17日

domon@guitar

David T. とWahの少ない Wah Wah Watsonのコンビネーションです。

 A1. Heavenly, That's What You Are To Me
  2. I'll Do For You Anything You Want Me To
  3. All Because Of You
  4. Love Serenade (Part 1)


 B1. What Am I Gonna Do With You
  2. Let Me Live My Life Lovin' You Babe
  3. Love Serenade (Part 2)
 










Barry Whiteの'75年の作品です。'72年以降、自己名義、Love Unlimited,Love Unlimited Orchestra名義で立て続けにレコードをリリース、「愛の伝道師」と称される通り、濃厚なエロティシズムとロマンティシズムに溢れた世界を作り上げてきました。本作でも、Love Unlimited Orchestraの豪華なメンバー（個人ごとのクレジットはありません）を従え、壮大なアレンジをバックに野太いハスキーな低音で時に激しく、時に甘く愛を歌い上げています。否定的な見方をすれば、時代遅れな甘すぎる曲、大袈裟なアレンジ、大味なヴォーカル、暑苦しい巨体とも好き嫌いが分かれるかもしれませんが、一時代を築き上げたことは確かで、本作もセールス、チャート上でも成功を収めました。
音楽雑誌などでもよく取り上げられた前年の”Rhapsody In White” はじめ、リーダー作品、プロデュース作品には結構な頻度でDavid T.が参加しており、中古レコードの値段もそれほど高くない（ほとんど1000円未満でした）こともあって、70年台の作品をディスクユニオンで集め、本作はその中の1枚です。くどすぎる、夜しか聴けないなどの欠点はありますが、他の作品同様
今でも時々ひっぱり出して聴いています。ただし、ただでさえ暑苦しい巨体が汗まみれになっているジャケット（表も裏も、当時はこれがセクシーとされたのでしょうか）は、レコード棚に戻してから聴いています。（特にこれからの季節に聴くときは絶対欠かせない儀式です）

＜ギターの聴きどころ＞

Love Unlimited Orchestraには、超個性的なDavid T., Wah Wah Watson, Ray Parker Jr.と、オールマイティなDean Parks, Lee Ritenour,Don Peakeなど、多数のギタリストが在籍していたとされ、ソロはなく、複数人でカッティング、リフ、オブリを重ねたコンビネーション（オーケストレーション？）でプレイしています。従って、特定のギタリストだけがフューチャーされることは少ないのですが、本作ではその中でも、Wah Wah Watson（右）とともにDavid T.（左）の活躍度合いが高い作品です。
A1ではイントロや中間部での控え目なカッティング（右の目立つ効果音的なプレイ、サウンドは、エフェクト少なめですがWah Wah Watsonでしょう)程度ですが、A2では左からコードとダブルストップのオブリを組み合わせた軽快なプレイで、重いヴォーカルを彩って（さらに重く感じさせて？）います。
スロウのA3では、オクターブやダブルストップなどのシンプルなプレイながら、ストリングスと共に夢の中を漂うような甘い雰囲気を盛り上げていて、本領発揮のOne & Onlyなプレイです。（右のW.W.の小刻みなカッティングは必要だったのでしょうか）
やはりスロウでスタートするB1でも、低音での語りのバックで転がるような短音プレイによりアクセントをつけています。語りの後はコードの裏打ちですが、それだけでも一聴してDavid T. とわかる個性を発揮しています。
比較的ポップなB2を挟んで、３連系スロウのB3に流れます。ここでも少し硬めのサウンドで、決してコードやテロリロなどのオブリを舞うようにプレイしています。10分ありますが、尺の長さを感じさせません。
ラストのB4ではシンプルなリフのみです。しかし、アルバムを締めるのに、こんな曲でいいのかと思ってしまいます。この曲を入れずに、B3で終わった方が良かったのでは？
なお、Wah Wah　Watsonは、Barry Whiteの作品では、本作など、Wahレスのナチュラル（普通の）サウンドを聴かせている曲もあります。（プレイはいつも通りです）興味のある方はぜひ聴き比べてみてください。