Bill LaBounty – Into Something Blue (2014) – Larry Carlton

一切の飾りを排したギターの生々しさ、最高級の表現力です。

 1. All This Time
 2. Ax To Grind
 3. The Cooling Board
 4. You Can't Break My Heart
 5. Lover Man
 6. If You Don't Come Back
 7. Funny But I Still Love You
 8. Stray Dog Blues
 9. Subterranean Homesick Blues
10. Reprise (All This Time)
11. Something Blue
12. Corporate Rock'n'Roll (Bonus Track)



Bill Labountyの2014年の作品です。'70年代後半から'80年前半の3部作でその美メロからAORの代表格の一人として認知されてきましたが、職人気質なのか相変わらずの寡作ぶりで前作のBack To Your Starから5年後のリリースです。(前前作のThe Right DirectionからBack To Your Starまでは18年空きましたのでそれと比べれば早いサイクルと言えるかもしれません。)
前作あたりから、玄人好みに曲調もサウンドも変化し、本作ではさらに渋みが増していて、声質もさらにハスキーに変わり、トレンディなAORという印象はもはやなく、ハードボイルドな雰囲気すら漂っています。お洒落であることは変わりませんが、質が変わっています。原点回帰を志向したのか、珍しく3曲のカバーも入っています。
前作は、新品を買い逃したために、高価な中古盤(ほぼ倍でした!)を買う羽目になりましたが、その教訓を活かして、本作は発売日に新品を買いました。案の定、中古市場でいい値段がついています。

<ギターの聴きどころ>
Cartonのギター目当てで聴き始めたBill Labountyですが、本作でもほぼ全曲(1,2,3,5,7,8,10,11)にCarltonが参加しており、アンプのナチュラルドライブのみでリバーブすらも薄く、一切の装飾を排除したかのようなサウンドと、やはり原点回帰したかのようなEmotionalでBluesyなギターがとにかく生々しいです。
左右でDean Parksあたりとバッキングを分けているのかと思いきや、インナーに書かれている個別のクレジットにはギターは1曲1人の名前しかなく、多重録音しているようです。
1、ベースとエレピの入りからなんとなくSteely Danを想起させます。ライナーには前作はSteely Dan的なアプローチで曲作りをしたと本人の弁が書かれていますが本作もそのテイストを感じます。右のナチュラルサウンド、左のWahのバッキングを重ねています。ソロはトレブリーで乾いたサウンドが意外にマッチしています。
Ben Sidranを思わせるJazzyな2でも、あえてJazz向けのサウンドとはせず、ドライブサウンドでキレるフレーズを突っ込んでいます。
Bluesyなシャッフルの3でもAlbertCollins的な鋭いツッコミのフレーズでヴォーカルにレスポンスします。
Mellowな5では、右のアコギを模したような硬質でナチュラルなトーンでのバッキング、ソロです。トーンが変わってもチョーキングやフィンガリングのニュアンスは変わらず、ピッキングのダイナミックスも見事です。
Ray Charlesの7でも、ヴォーカルへのレスポンス、抑揚のあるソロ、いずれもよく歌うBluesyなプレイで思わず聞き惚れてしまいます。
タイトルに関わらず、BluesというよりもJazzの8では左の刻みに左のオブリ、ソロです。フレーズはジャズですが、この曲でもトーンは硬質です。湧き出るようなソロが素晴らしいです。(コブシの廻ったLabountyのエレピも)。この曲もBen Sidran風です。
Labountyのピアノとヴォーカル、Carltonのギターだけの美メロの11、アンプ直と思われるCarltonのギターの表現力がとにかくすごいです。ずっと聴いていたい気分にさせます。この美しさの余韻に浸りたい人には次の12は蛇足と感じるかもです。
4,6はTom Hemby、9はDanny Parks(Dean Parksとは別人?)です。11もCarlton ではないと思います。
一切の飾りを排したギターサウンド、魂から湧き出てくるようなフレーズ、ギターで表現するとはこういうことなのかと思います。自分にとってはCarltonのベストプレイの一つです。
(私ごとで恐縮ですが、自分も基本ノーエフェクトながら、アンプのリバーブに逃げてしまいます。)



Emotional度♡♡♡♡♡  
Bluesy度♡♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡         

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