Eric Gale – In The Shade Of A Tree (1982)
売れ線狙いの夏のFusionではありません。
A1. The Doctor Knows 2. Lonely In A Crowd 3. In The Shade Of A Tree B1. Tropicamour 2. Aware And Innocent 3. Gulf Stream 4. Etoile Eric Galeの'82年の作品です。前作”Blue Horizon"に続き、当時のFusionの趨勢である夏やトロピカル(死語か?)をイメージしたタイトル、ジャケット、そしてサウンドに仕上げられています。 バックも前作同様、自身のバンドです。(1曲だけ朋友のGrover Washington Jr.が参加しています。インナーにもそれぞれの愛機を抱えたツゥショットが写っています。)日本による企画で、同時期のSalena Jonesと同じJVCからの2枚目としてリリースされています。Galeとトロピカル、すぐには結びつかなかったのですが、ライナーノーツにはベネズエラ生まれ、ジャマイカでも過ごしたと書いており、なんとなく納得しました。(後にN.Y.生まれと判明しましたが、ジャマイカ住まいは事実らしく、ReggaeアルバムのNegrileが制作され、死後に発売されました) 本作は、前作と共にUnionのエサ箱で発見し、先に聴いていたIsland Breezeをとにかく気に入っていたので、その延長上かと期待して購入しました。(Fusionブームはすでに去っていたのでそれぞれ300円ぐらいだったかと思います)これは先に紹介したSunriseとは違い、真夏に買った記憶があります。この中から選曲、iPodに入れてランニングのお供にしていました
<ギターの聴きどころ>
A1、軽い!Gale史上、最も軽い曲では?Galeもとうとうライトなフュージョンに行ってしまった?イントロが始まった瞬間そう思いました。しかし、歌が始まるとユニゾンプレイが聴こえ、途中からいつもの三連+ためタメチョーキングが飛び出して来て安堵しました。ライナーによると日本で大人気のキッド・クリオール&ココナッツのメンバーで本作にも参加しているキーボードのPeter Shotが作ったとのことです。ポップな曲調とGaleのオブリが意外にも合っています。エンディングのくどいほどの繰り返しフレーズも我が道を言っていて、器用にプレイを変えないところが素晴らしい! A2は、一転してタイトル通りの寂寥感を感じさせる曲で、テーマを哀愁たっぷりに奏でます。Grover Washingtonのソプラノのバックでのシングルミュートとロングトーンの使い方も絶妙です。ソロに移ると、やや歪みが強くなり、畳み掛けるフレーズや突っ掛かり気味のフレーズも交えながら、これでもかというような渋いチョーキングを繰り出してきます。Super400の箱なりとドライブの組み合わせがユニークなサウンドを作っています。 A3もタイトル通りの夏の木陰を思わせる安らぎ感のある曲です。曲の途中からReggaeのリズムに乗せたトレモロピッキングで変化をつけていますが、ソロや、エンディングに向けてのプレイはいつものGale節です。 B1は、2ndギターのfunkyなカッティングからLatinのリズムに移っていきますが、度々現れるソロプレイなどGaleは細かく刻まれるリズムに乗って「大きな」フレーズを弾いています。あたかもCarlos Santanaが弾いているかのような錯覚に陥りました。そもそも官能性(つまりエッチさです)、歌心、泣き、くどさ、そしてシンプルなフレーズの中の崇高な精神性がCarlosのプレイと共通すると思っているのですがいかがでしょうか? B2では、アコギによるプレイです。これまでもTom Scottの盤など、Galeのアコギプレイを紹介して来ましたが、この曲でもGrover Washingtonと絡みながらシンプルかつ情感に溢れたプレイをしています。ライナーには、「音色のコントロールの点ではアコギよりエレクトリックの方が扱い辛い」とGaleが語っていると書いてあります。本当でしょうか? B3は、世界最大の暖流の一つ、メキシコ湾流をテーマにしたようですが、熱量に満ちた力強いGaleのプレイ、的確に表現しています。 暖かく優しいメロディを持つB4は、ベース、数本のギターを重ねたGaleのワンマンプレイで、生まれたばかりのお嬢さんに捧げた曲です。(前作では奥様のマサコさんに捧げた曲がありました)いつも難しい顔をしている印象のあるGaleですが、Utopiaのところで書いたように、家族を愛し家屋に愛され、素晴らしい家庭を築いていたようです。ワシも見習わねば!
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡ |
お酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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