Herbie Hancock / V.S.O.P. (1977) – Wah Wah Watson, Ray Parker Jr.

D面のリズムギターの再競演(狂宴)、圧巻です!

A1. Piano Introduction
 2. Maiden Voyage
 3. Nefertiti

B1. Introduction Of Players~Eye Of The Hurricane

C1. Toys
 2. Introductions
 3. You'll Know When You Get There

D1. Hang Up Your Hang Ups
 2. Spider



 
Herbie Hancockのライブ盤です。1976年6月のNewPort Jazz Festivalでの録音で、A・B面がMiles Davisの門下生(Freddie Hubbardを除く)を集めたModern JazzのV.S.O.P Quintet、C面がHerbie Hancock SextetによるCrossOver、D面がHead Huntersによる超弩級のFunk、と異なったメンバーによる異なった音楽が二枚組に収録されています。(裏ジャケにそれぞれのメンバーの写真が写っています)Hancockも、それぞれのユニットで異なる鍵盤楽器を使用し、音楽性の幅広さを改めて感じさせられます。自分は、不純にも参加するギタリストへの興味から(David T.参加のMan-Child)からHancockのレコードを集め始め、"Secrets"と本作D面のリズムギターに度肝を抜かれました。本作(や一連の作品)を聴いて改めて思うのは、自身の音楽性の幅広さ、演奏技術の高さはもちろんですが、適材適所のミュージシャンの人選によって、より高みに登った音楽を作り上げているということです。この辺りを含め本作についてはJazzの専門家の方々が論じておられると思いますので、素人の私めは、D面のFunkにおけるリズムギターに注目したいと思います。


<ギターの聴きどころ>

右のWatsonのフェイズの効いたスライドを交えたシングルノートカッティングから曲が始まります、既にGroove感満載です。Hancock自身のメンバー紹介がそれに続き、Paul Jacksonの重いベースがユニゾンしながら入ってきます。続いて、絶妙のタイミングで左からRay Parkerのペケペケカッティングが切り込んできます。複音と、ビブラートをかけたシングルノート、ブラッシング、ユニゾンチョーキングでリズムの合間を埋めるオブリなど、ここでも抜群の個性を発揮しています。一方のWatsonも、中間部での珍しい複音カッティングの独奏や、エフェクトによる効果音など、負けず劣らずの個性で、バンドと一体になった二人のコンビネーション、相乗効果で抜群のGrooveです。オリジナルは”Man-Child”収録で、少しテンポを落としており、Watsonと"Blackbyrd" McKnightのコンビがプレイしています。
続くD2は、"Secrets"収録で、この二人が競演しています。スタジオ盤同様、Watsonがシングルトーンと効果音担当、Ray Parkerがカッティング担当ですが、ライブということで多少サウンドや構成はシンプルになっており、Watsonのサウンドも他の作品より比較的(あくまで比較的ですが)ナチュラルに聴こえます。合間合間に挟む3連のカッティングなど、効果音だけではないところも聴かせてくれます。右のRay Parkerはせわしなくリズムを刻みますが、微妙にリズムパターンやコードのポジションを変えて、バリエーションを加えています。キメの多さもあり、息もつかせぬ緊張感に満ちています
自分で二人の弾いてみると、リズムに乗り切れず、また長尺を持続できず、到底真似できません。御二方とも、素晴らしいリズム感と集中力です!
ギターは、内ジャケの写真にもある通り、WatsonがいつものL5CES(Ray Parkerから譲ってもらったそうです)、Ray Parkerが謎のLes Paul(Recordingかと思いましたがピックアップもがミニハムっぽいのでカスタムの塗装はがし&改造品でしょうか。パンケーキ構造が見えています。ヘッドも変!)です。二人のギター、サウンドだけ聴いたらL5CESとLes Paulとは誰も思わないのでは?Gibsonも困ってしまう異端児たちです。






Emotional度♡♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡ 

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