Larry Carlton / Plays The Sound Of Philadelphia (2010)

美メロを情感たっぷりに歌い上げています。

 1. Could It Be I'm Falling In Love (The Spinners)
 2. Back Stabbers (The O'Jays)
 3. If You Don't Know Me By Now (Harold Melvin and The Blue Notes)
 4. Drownin' In The Sea Of Love (Joe Simon)
 5. I'll Be Around (The Spinners)
 6. You Make Me Feel Brand New (The Stylistics)
 7. Bad Luck (Harold Melvin and The Blue Notes)
 8. Never Give You Up (Jerry Butler)
 9. Mama Can't Buy You Love (Elton John)
10. Only The Strong Survive (Jerry Butler)
11. Mighty Love (The Spinners)



 


 
Carltonの'10年の作品です。タイトルおよびサブタイトルの”A Tribute To Kenny Gamble & Leon Huff”の通り、Gamble & Huffの曲を中心とした全曲フィリーソウルのカバーで構成されています。私もフィリーソウルは大好きで、本作に含まれるほとんどの曲は原曲で聴いていましたが、本作のリリースを知った時には、Carltonとフィリーソウルの繋がりが今ひとつピンと来ませんでした。しかしながら、前年の'09年に自身の活動に注力するため、12年在籍したFourplayを脱退した後のリリースですので、Carltonが本当にやりたかったことの一つだったのだと思います。CDのインナーには参加ミュージシャンが個別に写真入りで紹介されており、力の入れ具合が窺えます。
スタジオ録音としては、'05年の"Firewire"以来5年ぶり(間にRobben Fordとのライブ盤や、セルフカバー、B'zの松本さんとの共演盤等ありましたが)で、FirewireやRobbenとのライブ盤が割とRockぽかったこともあり、そろそろメロウ面での作品がが聴きたいと思っていた矢先のリリース、発売日を心待ちにして購入しました。





<ギターの聴きどころ>

フィリーの名曲がCarltonによってどのように料理されているのでしょうか?興味津々で愛機335がプリントされたCDをトレイに入れました。
Spinnersの1.が流れてきました。邦題「フィラデルフィアより愛をこめて」(なぜ?という気もしますが)でもあり、日本人に向けてのメッセージもある?というのは考えすぎでしょうか?原曲よりほんの少しテンポを上げていますが、ソフトなヴォーカルをオクターブ奏法などで同じようなフィーリングでメロウに表現しています。
2.は'OJaysです。ここでは、原曲の持つスリリングな緊張感を保ちながら、ピッキングの強弱やオクターブ奏法などにより、ヒリヒリするようなヴォーカルをよりメロウなテイストで置き換えています。
多くのカバーがある3.、Carltonはドライブサウンドで原曲でのテディペンの熱唱に負けず劣らずのプレイです。特に後半のハイポジションでの繰り返しフレーズ等の盛り上がりがアツいです。なお、この2.と3.はChickenshackも取り上げていますので聴き比べてみてください。(3.はDavid T.も)
4.は盟友とも言えるBill LaBountyがヴォーカルで参加しています。ここでのソロもセンターポジションでのヴォリュームコントロール、ピッキングコントロールの行き届いたメリハリのあるフレーズです。余談ながら、この曲、Joe Cockerに歌ってもらいたいとずっと思っていました。
5.もSpinnersのカバーです。イントロのオクターブなど、忠実にコピーしつつ、ダブルストップや重ねによるハモリも活用しつつキャッチーなメロディーを表現しています。短いながらアドリブソロも見事です。
スロウの6.も多くのカバーがあり(Chickenshackもリユニオン時にカバーしています。David T.も)ますが、コーラス隊のバックアップを受けつつも、Carltonのギターも原曲でのテナーとファルセットを美しく再現しています。
アップの7.、原曲ではやはりテディペンのシャウトが印象的ですが、ドライブサウンドは使わずフロントの甘いサウンドをコントロールして表現しています。
一方、続く8.では、コーラス隊を従えつつ、ナチュラルドライブで原曲のDeepなヴォーカルを辿っています。いつも通りピッキングやフィンガリングでサウンドをコントロールする表現力に溢れたプレイです。この曲も多くのカバーがありますが、最初に聴いたのはChuck Brownでした。
9.は初めて聴きましたが、なんとElton Johnの曲でした。シグマサウンドを目指しTom Bellにプロデュースを任せた曲とライナーの解説に書いてありました、Carltonはキャッチーなメロディを流れるようにプレイしているのですが、原曲をまだ聴いていませんので、いつか聴き比べてみたいと思っています。
10.もJerry ButlerによるSoul Classic('68年)をBill LaBountyのヴォーカルでカバーしています。LaBountyの土の匂いも感じさせるイナタいヴォーカルに、やはりイナタいヴォーカルで寄り添い、ソロもBluesyに決めます。
ラストもSpinnersで締めます。’75年のライブ盤でラストで盛り上げた曲をラストに持ってくるあたりがニクい演出です。この曲でもナチュラルドライブで歌いまくります。なお、この曲はStuffがカバーしています。
オリジナルを忠実に再現したいとの思いもあったのでしょうか、1曲は決して長くなく、CD1枚で40分弱です。そのため、長いソロやアドリブは少ないですが、美しいメロディを達人が情感たっぷりに歌い上げるプレイが全編に溢れていて、自分としては十分です。本作の流れで他の美メロカバー集を期待したのですが、残念ながら今のところ続編はありません。お元気なうちに作っていただきたいところです。









Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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