Dr. John – Afterglow (1995) – Phil Upchurch

夜の雰囲気の中で、”燻し銀”のシブいプレイです。

 1. I Know What I've Got
2. Gee Baby Ain't I Good To You
3. I'm Just A Lucky So-And-So
4. Blue Skies
5. So Long
6. New York City Blues
7. Tell Me You'll Wait For Me
8. There Must Be A Better World Somewhere
9. I Still Think About You
10. I'm Confessin' (That I Love You)




Dr. Johnの'95年の作品です。N.O.の音楽貝の重鎮として多くの名作・名演を残したDr.John、本作ではセルフカバーを含むJazzやBluesのカバーを中心にした夜をイメージさせる曲を集めています。Tommy LiPumaがプロデュース、腕利きを集めたカルテットのリズムセクションにBig Bandを加えた演奏がこれまた達人のAl Shmitによって録音されています。本作においては、独特の鍵盤を転がすようなピアノは若干抑え気味ながら、ダミ声のヴォーカルはいつもどおりで、腕利きたちのリラックスした演奏と相俟っていわゆる「渋い」作品に仕上がっています。
Dr.Johnを知ったのは、意外にもボ・ガンボスを通じてです。80年代後半のブルースブームの頃、野音でのブルースカーニバルにボガンボスが出演し、大いなる違和感と憤りを感じて、彼らの出番の時には喫煙所にタバコを吸いに行っていたのですが、聴こえてきたIko Ikoのフレーズがなぜか耳に残り、N.O.に夢中になっていた先輩方にDr.Johnのバージョンを勧められて聴いたのがDr.John初体験です。その後、値段が折り合えば見かけるたびに買っていたのですが、本作は裏にPhil Upchurchの名前があり、大好きな2やB.B.に提供した8も入っていて、中古で1000円以上したのですが奮発して買いました。90年代の終わり頃でした。

<ギターの聴きどころ>

CDをトレイに入れ、スピーカーから音が出てきた瞬間、 Charles Brownかと思ってしまいました。ダミ声が入ってきてDr.Johnだなあと思って聴き進めるのですが、ギターは?ゴーシャスなホーンに隠れて刻みがかろうじて聴こえるぐらいの小音量です。大好きな2、続く3でも同様です。Upchurch様、手抜きの術炸裂?あるいは変態プレイが炸裂し、Tommy LiPumaの指示でAl Shmitがカットした?
4ではコードの刻みが比較的明瞭ですがそれでも控え目です。
スロウの5で、ようやくダミ声に呼応するBluesyなオブリが入ってきます。待った甲斐あってメロウです。
Dr.Johnのオリジナル6では再び地下に潜り、7でメロウなオブリで復活します。ギター側のヴォリュームを絞ったようなアコースティックなサウンドでの上がりきらないチョーキングやタメたプレイがいい感じです。
B.B.に提供した8,メロディやアレンジはB.B.と異なりますが、絶望と希望が交錯する歌詞がDr.Johnのダミ声にマッチし、Upchurchのギターも寄り添うようにレスポンスします。エンディングのフレーズもさすがです。
続く9ではコードプレイ主体で、ほんの少しだけ入る遊びがメロウです。
ラストの10もイントロからコードの刻みに入り、決して派手ではないのですが大きな存在感を感じさせる貫禄のプレイです。
本作では、他の作品で聴かれるようなトンチの効いた変態フレーズもなく、”燻し銀”と評される通りの渋いプレイです。松木さん並みの音数の少なさ、私の好みとしてはこのぐらいでちょうどいいかもです。
個人的には、同じ雰囲気を持つ”In A Sentimental Mood”と共に、Dr.Johnの作品の中でも特に愛聴する1枚です。最近見かけませんが見つけたらぜひ聴いてください。
Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

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