Art Farmer / Crawl Space (1977) – Eric Gale

哀愁漂う曲調にGaleの泣き節が映えます。エフェクトが強いのが残念!

A1. Crawl Space
 2. Siddhartha

 
B1. Chanson
 2. Petite Belle
 


 
Art Farmerの'77年の作品です。フリューゲルホルンの第一人者で、CTI移籍後の1枚目となります。プロデュースはCreed Taylor、バックはGale,Gadd,Will Lee,David Grusinなどのいつメンです。嬉しいことに、編曲がDon SebeskyやBJではないので、余計なストリングスやホーンの導入などオーバーアレンジがなく、個々の楽器の息遣いやタッチが鮮明に聴こえて好ましい仕上がりになっています。押しなべてコアなJazzファンからは人気がないCTI作品ですが、本作は曲の良さ、個々のメンバーの名演、アルバム全体を通してのハードボイルド感や哀愁を感じさせる統一感、4曲しかないながら非常に充実した内容になっています。Art Farmerは、90年台の中頃、先に同じCTIのJim Hallとの双頭ユニット盤を聴いていて、それまでフリューゲルホルンといえば、Chuck MangeoneChristopher Crossの「Spinning」でのソロぐらいしか聴いたことがありませんでしたが、柔らかく温かい音色が気に入っていましたので、違和感なく入り込めました。その流れで、ユニオンの安箱で本作を発見して手に取ったところ、裏を返すとGaleの名前があり、速攻でレジに向かいました。(一時期、CTI作品(Kudu含む)はJazzのセール箱の常連で、結構な数のGale参加作品をそこからGetしました。どれも値段以上の価値があるレコードばかりでした。)

<ギターの聴きどころ>

個別曲のクレジットはありませんが、聴く限り、GaleはA1とB1に参加しています。(A2とB2も参加しているのかもしれませんが、エレピに隠れているのか聞き取れませんでした)
A1,イントロからGaleのローポジでのプレイと思われるリフが入ってきます。左チャンネル、かなりフェイザーの強いサウンドで、Gaddの刻むリズム、Will Leeの重量感あるベース、ギター同様モジュレーションの強いエレピと共に独特の揺らぎを感じさせるGrooveを作っています。そこに主役のメロウながらクールさも感じさせるテーマが載ってきて、曲が進んでいきます。テーマ同様クールさを感じさせるフルートのソロに続いてGaleのソロが始まります。強めのピッキングで突っ込み気味に入り、マイナーとメジャーのペンタを巧みに操りながら、最後はタメをきかせたフレーズで締めくくります。いつの間にか右からはカッティングが聴こえています。
B2では、泣き節でイントロを担当し、哀感のあるテーマにつなぎます。テーマのバックでは左からフリーなコードの流しやカッティングで彩りを添え、ここでのソロも泣節をベースとしつつ、ややツッコミ気味に入り、畳み掛けフレーズを交えながら緩急を付けています。尺八を思わせるノイジーフルートに続く後半での二度目のソロでは、短いながら低音部から高音部まで駆使した泣きのフレーズが続きます。フェイザーが強すぎ、タッチがぼやけるのが残念です。
この2曲でのGaleの素晴らしさはもちろんですが、本作でのGaddのドラムのGrooveも特筆ものです。以下にソフトウェアが進化しようともコンピューターでは絶対再現できない独特の揺らぎがあります。
今の季節にぴったりの哀愁漂う4曲、BGMとして軽く聞き流すも良し、各楽器をしっかり聴き込むも良しですので、ぜひ聴いてみてください。




Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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