Herbie Hancock / Magic Windows (1981) – Ray Parker Jr.

個性派カッティング名人が揃い踏みです。

A1. Magic Number
2. Tonight's The Night
3. Everybody's Broke



B1. Help Yourself
2. Satisfied With Love
3. The Twilight Clone




Herbie Hancockの'81年の作品です。Jazzをベースとしながら時代の先端的要素を取り入れた革新的な音楽を作り出しており、本作は電子化〜Funk期を経過してブラコン的な色合いが濃くなっています。B3を除きヴォーカリストを招聘しての歌物で、バックもSoul~Funk畑の名人たちです。そのため、機的な不気味さを感じさせるジャケットに反してメロウ感も増しています。
V.S.O.P.”のD面でのFunkのかっこよさに目覚め、70年代〜80年代のレコードを買い集めた中の1枚で'70年代の作品は1,000円を超えるものもありましたが、'80年代のLPはその後の評価があまり高くないのか多くはワンコインで買えました。本作も500円だったと記憶します。

<ギターの聴きどころ>

裏ジャケには個別曲のクレジットがあり、個性派カッティング名人が揃い踏みです。
A1,A2はRay Parker Jr.です。
重量感のあるビートで幕を切るFunkのA1,SylvesterのライトなヴォーカルやHancockのエレピソロがオシャレ要素も加えています。RPJもいつものペケペケ感をやや抑え気味にしつつ、キレのいいカッティングでGrooveの一端を担っています。
A2は、前年のRaydioの”Two Places At The Same Time”に収録されていたミディアムスロウです(Hancockとの共作)。Vicki RandleのキュートなヴォーカルがRPJのもったり甘いヴォーカルとは異なる雰囲気を作っています。RPJのバッキングもシングルミュートにカッティングを加えたおとなしめのプレイです。
ミディアムFunkのA3はブラジョンが参加しています。単調になりがちな曲をGavin Christopherの粘っこく熱いヴォーカルとともに盛り上げています。
B1はAl Mckay参加です。シングルノートとコードを組み合わせたカッティングにいいタイミングで装飾音を加え、キレの良さだけでなく重量感も感じます。本作のギターの中では、個人的には最も気に入っています。
メロウなミディアムのB2はWah Wah Watsonです。シンセやべースと被っていて今ひとつ聴き取りにくいのですが、左の硬質なサウンドでのコードの流しとイントロのみ登場する右のコードの被せでしょうか。いつものような変態プレイ、変態サウンドではなく寂しいですが、Watsonのノーマルプレイも珍しいのでは?この曲でもGavinがヴォーカルです。'80年代のソロでも熱唱を聴かせますが、時代的に電子音にあふれたバックサウンドが表現力を活かせてないような気がしていました。90年代後半以降のアコースティック回帰の時期であれば持ち味が発揮できたのでは?と思ってしまいます。
ラストもブラジョンです。タイトルにある夕暮れを連想させるようなメロウさはなく、Adrian Belewの効果音的なギターをフューチャーした無機質な曲で個人的には残念でした。どうせならこの曲でWatsonと変態対決をさせれば良かったのでは?Georgはシングルトーンのリフで淡々とプレイしています。

それぞれ抑えめのプレイではありますが名人が集結したアルバム、カッティングの参考になる1枚です。ぜひ聴いてください。





Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡

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