Lee Ritenour / In Rio (1979)
晩夏に合うガットのサウンドです。
A1. Rainbow
2. San Juan Sunset
3. Rio Funk
B1. It Happens Everyday
2. Ipanema Sol
3. Simplicidád
4. A Little Bit Of This And A Little Bit Of That
Ritenourの'79年の作品です。'76年の”First Course”以降、ソロ作やリーダー作を矢継ぎ早にリリースしてきたRitenour、当時の日本でのフュージョンブームに乗り、日本企画(遠藤敏さんが共同プロデュースとして名を連ねています)により日本での先行発売となりました。(グローバルなリリースは3年後の'82年で、ジャケットデザインも別となっています。)タイトル通り、Rioでの制作かと思いきや、Rioでのベーシックトラックに加え、L.A.とN.Y.で豪華なミュージシャンを集めて録音されています。最も特徴的なのはRitenourが全曲でガットをプレイしていることです。本作以前の作品でもガットを使用している曲はありますが、Ritenourのイメージは赤の335だったので驚きました。
高校生の頃地元のレンタルレコードでベスト盤を借り、その中に収録されていたA1が印象に残っており、90年代以降、一連のRitenour盤収集の際に、同様に他の盤同様、安箱から救出しました。
個人的には、Ritenourの作品の中で最も気に入っている1枚です。ガットによるFusionはEarl Klughが先駆者であり、かつ最も有名ですが(Klughも後追いでLPはほとんど安箱より買い集めました)、先に聴いた本作に愛着を感じて愛聴しております。
<ギターの聴きどころ>
針を下ろし、A1が流れた瞬間に幸せな気持ちになります。ストリングスもこのぐらいであれば過剰ではなく、パーカッションも躍動感を感じます。美しいメロディを奏でる主役のギターも変にエフェクトがかかっていない分、歌心やダイナミックスが十分に伝わってきます。(なお、この曲はITSという日本のコーラスユニットもカバーしていて、こちらも秀逸です) A2はDeodatoのアルバムのミディアムスロウのカバーです。原曲ではCarltonがヴァイオリン奏法を駆使してとろけるようなメロウなプレイを聴かせてくれますが、こちらは弦を強く弾くようなプレイも聴かれ、強弱で躍動感をつけています。 A3もベスト盤に収録されていました。若きMarcus Millerのチョッパーベースと、中間部のキレのいいカッティング(Ritenour自身かと思ったらJeff Mironovのようです。)がヘビーさを感じさせる曲ですが、ガットがピッタリと合っていて意外です。 メロウなスロウのB1、よくきくとクルセのカバーでした。アレンジは異なりますが、ワイルドさが薄れた分、よりリリシズムが強調されたように感じます。しかしA2もB1もCarlton参加曲をカバー、言葉とは裏腹に結構意識していたのでしょうか?あるいは制作側の意図? イパネマの娘にインスパイアされたかのようなタイトルのB2、内容はサンバでした。後半の打楽器たちの盛り上がりにも、一歩も引けを取らないRitenourの緩急のあるプレイが見事です。この曲はピック使用でしょうか? B3も、Bluesとは異なるアコギのタメや焦らしを多用し、美しいメロデイを表情をつけてプレイしています。Rhodesとの相性もバッチリです。 デビュー盤の1曲目のセルフカバーのB4、エレクトリックのようにチョーキングや横ビブラートを多用しており、アコギでは珍しいプレイに感じられました。アルバムの最後に持ってくるあたり、思い入れが深い曲なのでしょうか? 器用なRitenour、あらゆるジャンルを多彩なサウンドでソツなくこなすテクニックとセンスを持っているのですが、本作では、いつもより熱がこもった演奏に感じられ、日本からの持ちかけ企画とはいえ、本当にやりたかったのはこの路線だったのでは?と勝手に思っております。なお、本作の曲を収録した中古の楽譜を見つけたので買ったのですが(300円ぐらいでした)パラパラと見ただけで、1フレーズも弾いておりません・・・身の程知らずというか宝の持ち腐れというか・・・・ ともあれ晩夏の季節にも合うガットのサウンド、ぜひ聴いてください。
Emotional度 | ♡♡♡♡ |
Bluesy度 | ♡♡ |
Mellow度 | ♡♡♡♡♡ |
酒のお供度 | ♡♡♡♡ |
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