Grover Washington, Jr. / Come Morning (1981) – Eric Gale

抑えたGaleのプレイも美しいです。

A1. East River Drive
 2. Come Morning
 3. Be Mine (Tonight)
 4. Reaching Out

B1. Jamming
 2. Little Black Samba
 3. Making Love To You
 4. I'm All Yours
 


 
Grover Washington, Jr.の'81年の作品です。大ヒットした前作に続いてリリースされ、メンバーも前作とほぼ同じ顔ぶれです。内容も、前作と同じテイストです。裏ジャケでは朝焼けを背に、本人が女性と抱き合い見つめうデザインとなっており、これを見ただけで、どんな場面で聞かれる(使われる)ことを想定して作られたのかわかる気がします。前回はBill Withersをゲストヴォーカルとして招いていたところ、今回はGrady Tateです。(本職のドラムはGaddに任せて歌だけです)クルセも、80年代はゲストヴォーカルを招いた作品を立て続けにリリースしましたが、Randy Crawford,Bill Withers,Joe Cocker,Nancy Wilson,(LiveでのB.B.King)など、異なるフィールドから呼び、曲調も変えるなど新たな試みを取り入れていましたが、本作は全くの二匹のドジョウ狙いに感じました。個人的な思いですが、Gale,Gadd,Tee と共演歴のあるJoe Cockerあたりを呼んで、ガツンと熱い曲を披露するぐらいのチャレンジがあってもよかったのでは?と思ってしまいます。Stuffのメンバーが3人もいるのに、R&Bの匂いがほとんどしません。Gordon Edwardsがいないからでしょうか?二匹目のドジョウ、泥臭くなくクリスタルでした。



<ギターの聴きどころ>

Galeは全曲に参加していますが、バッキングに徹していて、前作に引き続きソロはありません。
アルバム冒頭からしっとりムードのA1、ソプラノに続いてリズム隊が入ってきます。Galeはミュート気味のシングルノートバッキング中心のプレイででMellowなGrooveの一端を担います。
続くA2も哀愁が漂う曲調で、ラジオ体操などとは対極にある大人の男女の朝のイメージです。Galeは決して弾きすぎることなく、フリーなコードバッキングです。シンセのチャラチャラ音が余計に感じました。
Grady TateのヴォーカルをフューチャーしたA3、曲の進行に合わせて、コードの流し、カッティングなどで盛り上げます。ヴォーカルの合間に入るチョーキングのちょっとしたオブリがたまらなくセクシーです。Galeのこういうプレイ本当に大好きです。歌詞では夜のようですが、Tateのソフトなヴォーカルのためか、A2よりこの曲の方が朝を感じさせる爽やかさです。
A1,A2同様に濡れた感じのあるA4,ここでも控えめなカッティングです。
Bob MarleyのB1,原曲を未だ聴いておりませんが、軽やかなリズムに関わらずこのバージョンではアルバム全体を統一しているダークなムードが漂っているように感じます。Galeはシングルノート中心にスタートし、後半の盛り上がりでづつコードカッティングに移行していきます。曲の終わり間際に少しだけGale節を突っ込んできています。弾きたくなってしまって我慢できなかった、という感じでしょうか?
LatinのリズムのB2もマイナー調のメロディーのせいか、陽気な雰囲気というよりはやはりダークな雰囲気です。中盤以降のTateの緩急のあるヴォーカルが光ります。Al Jarreauが歌っていたらまた違う雰囲気になっていたかもしれません。
優しく美しいスロウのB3、B4でもシングルノートやアルペジオ、コードカッティング、キメでの複音など、曲の展開に合わせてパターンを変えています。さりげなくヴァイオリン奏法を入れたりするところもニクイです。
美しいメロディーとサックスのサウンドが全体を支配していて、感情に任せたBluesyなフレーズは本作では聴くことができませんが、堅実なバッキングや、ほんの少しのオブリでも強い個性を主張していて一発でGaleとわかる味わい深いプレイです。抑えたGaleのプレイ、Grover Washington Jr.の前作や次作(ここではPatti Labelleがヴォーカルです)でも聞くことができます。


Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡

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