Bob James, David Sanborn ‎/ Double Vision (1986) – Eric Gale

泣きのGaleと泣きのSanbornの共演ですが、美しい大人の音楽でした。

A1. Maputo
 2. More Than Friends
 3. Moon Tune
 

B1. Since I Fell For You
 2. It's You
 3. Never Enough
 4. You Don't Know Me



Bab JamesとDavid Sanbornの二大巨頭による'86年の作品です。Bob Jamesは不幸な出来事から自身のTappan Zeeを閉鎖し、Warner Brosへ移籍、それによりSanbornとの共演でこのような素晴らしいアルバムができたのですから人生何があるかわからないですね。Steve Gadd (Ds),Marcus Millar(B)の鉄壁のリズム隊がバックを務め、スロウものを中心としつつもGrooveを感じさせる円熟した作品に仕上がっています。プラチナディスクとグラミー賞に輝き、セールスも世間の評価も高く、現在でも愛聴者が多い名作です。Bob Jamesは、本作を下敷きにして後のFourpay構想を練ったと言う説もあり、楽器の構成やメンバーは異なるもののフィーリングは共通するところが多く、さもありなんと言う感じです。(ついでながら、Chickenshackデビューも'86年で、方向性は異なりますが相通づる先進的な取り組みをしていたと感じます)本作のプレイの主役はSanbornで、Bob Jamesは実質的な音楽監督の役割だったのでは?と思います。(とするとプロデューサーのTommy Lipumaはメンバー集めと資金調達?)
Al JarreauのTendernessを聴いて、GaleとSanbornの共演盤が他にもないか探して本作に辿り着き、例によってエサ箱からLPをゲットしました。(安盤を買ったのでデジタル化時に波形編集でも消せないノイズありますが、オーディオ的な音の良さでも特筆すべき盤です。特にGaddのバスドラとMarcus Millarのベースの音圧がすごいです。)
聴きやすいBGMとの評判もありますが、聞き流すには勿体無い作品と思います。本作を聴いてSanbornリーダー作・参加作集めを始め、まで買っちまいました。(硬派のJazz批評で丸々一冊特集されるとは!さすがです。)



<ギターの聴きどころ>

GaleはB1とB4の2曲に参加しています。泣きのSanbornと泣きのGale(しかも二人ともクセが強くくどい!)、果たしてどんな共演なのか期待しながら、まずB面を聴きました。
B1は、Ruth Brownのところでも紹介した大好きな曲でゲストのAl Jarreauが歌っています。さすがのJarreauもこの曲ではヴォイスパフォーマンスはなく、しっとりと歌い上げています。ヴォーカルとのコール&レスポンスをSanbornに任せて、Galeは控えめに合いの手を入れる程度です。(それでもエンディング付近で一発ロングトーンをかますだけで圧倒的存在感です。)少し肩少し感がありましたが、Jarreauのヴォイパも加わって三つ巴になったら曲のイメージが壊れてしまいますのでのでこのぐらいが泣きの適量かと思います。(アルコールと一緒で適量も大事と思います)
B4もSanbornの独壇場で、頭から硬質なトーンで泣きまくります。それに応えるようにGaleも濡れたトーンで渋く応えます。
泣き泣き対決を密かに期待しましたが、Galeの一歩引いたプレイで大人のアンサンブルに仕上がっています。
Lalo Schifrinとのセッションのようにバキバキ引き倒すGaleもいいですが、本作やPatti Austinでのプレイのように、少ない音数で曲のムードを作ってしまうプレイはなんとも言えません。
その他の曲では、当時超売れっ子のPaul Jackson Jrがシャープなコーラスサウンドで、カッティング、シングルノート、アルペジオ、オブリと多彩なバッキングをしています。Sanbornが濃すぎるので、このぐらいの軽快さがちょうど良いのかもしれません。






Emotional度♡♡♡♡♡ 
Bluesy度♡♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡ 
酒のお供度♡♡♡♡ 

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