Joan Baez / Diamonds & Rust (1974) – Larry Carlton

アレンジャー目線のセンス溢れるプレイです。

A1. Diamonds & Rust
 2. Fountain Of Sorrow
 3. Never Dreamed You'd Leave In Summer
 4. Children And All That Jazz
 5. Simple Twist Of Fate

 
B1. Blue Sky
 2. Hello In There
 3. Jesse
 4. Winds Of The Old Days
 5. Dida
 6. I Dream Of Jeannie ~ Danny Boy (Medley)
 


 
Joan Baezの'75年の作品です。60年代のフォークの創成期から活躍するシンガーソングライターで、プロテストソングの女王の異名を持ち、公民権運動や反戦活動にも身を投じていました。2019年までコンサートを行うなど、息の長い音楽活動を行ってきた歌手の一人です。
本作では、これまでの自作曲を自身の演奏するアコギ1本で歌うスタイルから転じ、他人の曲を7曲(有名どころばかりです。自分は特にB6にグッときました)取り入れ、クルセのメンバーなど腕の立つスタジオミュージシャンを集めてバンド形式で録音されています。
アメリカのフォークには殆ど縁がなく、Baezについてもドナドナを歌った人ぐらいの認識しかない自分でしたが、音楽雑誌でCarlton参加作として紹介されており、新宿ユニオンのFolkコーナーで購入しました。
表題曲は直訳するとダイアモンドと錆、一時は恋仲であり音楽的交流も盛んであったBob Dylan のことを歌っているらしいですが、恨み節のようでもあり、いまでも深く愛しているようでもあり、意味深な歌詞でした。

<ギターの聴きどころ>

裏ジャケには、個々の曲のクレジットが記載されており、それによるとCarltonはA面およびB1,B3,B4でエレクトリックを、A2,B1ではアコギをプレイしています。(殆どの曲でDean Parksとコンビです)のみならず、音楽的な素養とセンスを買われたのか、Baezと共同でアレンジもしており、A3〜A5ではストリングスに対して指揮棒も振る貢献ぶりです。
表題曲のA1、左右からのBaezのアコギに乗せて、右からヴァイオリン奏法などのオブリを音数少ないながら効果的に挿入しています。A2、A3はセンターポジションと思われるサウンドでカントリーっぽさも感じさせるプレイです。自作のA4,Baezらしからぬ感じがします(Joni Mitchellの「Help Me」っぽさを感じました。)。Carltonのプレイはヴォーカルに寄り添うメロウなオブリ主体です。ドライブサウンドでのハモリによるリフやオブリが印象的なA5,Dylanの曲のようですが、原曲は未聴です。中間部には多重録音によるギターのかけ合いが聴けます。
The Allman Brothers BandのB1、ここでもCarltonによる重ねの勢いも味わい深さもあるソロやオブリが聴けます。Carltonファンには本作のハイライトと思います。Janis IanのB3,主役のアコギを補うように左からアルペジオなどでバッキングを重ねています。これまたカントリーフレーバー溢れるB4,ペダルスティールに混じってバイオリン奏法を入れています。ロングソロなどを期待すると物足りないかもしれませんが、出るところは出て、引くところは引く、アレンジャーの視線でのプレイ、抜群のセンスで、Carltonが重用されたのがわかる気がします。Carltonは翌年のライブ盤など、他の作品にも呼ばれています。




Emotional度♡♡♡
Bluesy度♡♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡
センス抜群度♡♡♡♡♡

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