Marlene / Left Alone (1986) – 松木恒秀

弾かずに存在感を発揮する幽玄の美です。

A1. Left Alone

B1. Meditation
 2. My Funny Valentine
 
 

 
 


Marleneの'86年の12インチシングル盤です。タイトル曲であるMal Walden作のA1は、Billy Holidayに捧げられた曲(彼女自身のヴォーカルによる録音は残っていないのが残念です)として有名ですが、同年の角川映画『キャバレー』挿入曲に使われたとのことで、Marleneの上巻溢れたヴォーカルとコルゲンさんの華麗なアレンジにより、ゴージャスに生まれ変わっています。(映画は未聴です)
"Just Like First Love"での松木さんのプレイを聴き、他のMarleneの作品にも参加しているのでは、との思いからその後、安箱の中のLPを買い漁りました。(80年代の女性Jazzヴォーカルブームで当時リリースのLPもそれなりに数が出たと見え、Jazz/Fusion安箱の常連の一人でした)他のLPでは松木さんの参加がないことがわかった90年代も後半になった頃、今まで見たことがない作品として本作を発見、値段も帯なしだったにも関わらず1000円以上しましたが、今後見つけられない&コンプしたいとの思いもあり、収録の3曲も好きな曲ばかりなので、購入しました。
なお、松木さんのMarlene作品の参加は2枚だけでしたが、Carlton参加作が1枚ありました。(控えめな参加ですが)

<ギターの聴きどころ>

開けてみると、インナーには個別曲のクレジットがあり、なんと松木さんの名前がA1とB2に書かれていました。ラッキーです。しかし、盤は手垢やスリ傷が多く状態がよくありません。入念にクリーニングして聴きます。
A1、ストリングスの華麗なイントロで曲が始まり、ヴォーカルが入った後も少ない楽器の空間をストリングスが埋めるようなアレンジで曲が進みます。しかし、その陰(とジリパチノイズ)に埋もれているのか、一向に松木さんのギターが聴こえてきません・・・ようやく、エンディングでコードの流しが聴こえました。これだけ?くり返し聴くと、どうやら曲の中盤から、ごく弱いピッキングで、ちいさい音での白玉コードが入っているようです。
参加のないB1に続いて、B2では、ヴォーカルが入った後、左から単音(コードではありません!)を4拍だけ入れてきます。リムスティックと被ってこれも聴き取りづらい・・・・中盤にさしかかるとほんの少しオブリを入れ始めるも、やはりごく小さい音です。一時的なテンポチェンジでも他の楽器に引きずられて盛り上がることはありません。そのうちに曲が終わってしまいました。
物足りン!
しかし、これも繰り返し聴いてみると、シングルノートでコード感とリズムを演出した計算され尽くした音使いであり、オブリも必要最低限で効果を出している省エネ&小音ながら、確かな存在感を感じさせるプレイに思えてきました。達郎さんが松木さんのプレイを「禅みたいな、茶の湯みたいなギター」と評していましたが、まさしくその通りの幽玄の美とも言えるプレイでした。
その後もあまり見かけることはありませんが、傷なし盤を買い直したいと思っています。なお、A1は7インチのシングル盤もあり、B面はインストバージョンとのことですので、そこには松木さんはもう少し聴こえる音量&音数でプレイしているのでしょうか?こちらも探して聴いてみたいと思います




Emotional度♡♡♡♡
Bluesy度♡♡
Mellow度♡♡♡♡
酒のお供度♡♡♡♡♡
音量&音数

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